易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「主か従か」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「雷沢帰妹」の「四爻変」でした。
  • 「帰妹」(きまい)は、主従のバランスが悪い組合せですが、互いの関わり方を工夫すれば進めます。
  • 「四爻変」ですから、結果が出せるのはまだ先になりそうですね。でもあせらず自分を磨きながら、時を待てば成就するはずです。
  • 本日のテーマは「主か従か」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • わが国の歴史をたどると、天皇と豪族、公家と武家、朝廷と幕府、そして近現代の民主政治における内閣と国会あるいは政治家と行政官僚など、相互の関係と時の国政を動かす実質的な力において「いずれが主か従か」が、延々と争われてきたことが分かります。
  • 鎌倉幕府を倒して南北朝の時代への道を拓いた武将・楠木正成、また、その遺志を継いだ嫡男・楠正行は、地方豪族出身の立場をわきまえながら南朝に従い、最期まで天皇親政の実現に力を尽くしました。当時のような武家による統治が不安定で、流通経済なども制約されていた社会情勢の下では、それが楠木一族としての最善の決断であり生き方だったのでしょう。
  • 楠木一族は、河内国を中心に近畿一円に及ぶ商業物流のネットワークを動かす事業集団であり、当時の政治経済活動の枠組みやルールを超えて、次の時代を先取りしていたわけですね。

 

〇「観る力を養う」

  • いかなる組織においても、必要な判断を下すリーダーと所属するメンバーの相互のより良い関係なしには、事業の進展も目的の達成も望めません。
  • 組織のあり方については、テイラーやバーナードの考え方を基本として、今世紀に入って以降も戦略的な思考から様々な組織形態が論じられています。2014年にベルギー出身のフレデリック・ラルーが提唱し、わが国には2018年に紹介された「ティール組織」もそのひとつです。
  •  ティール組織とは、社長や上司が事細かに管理しなくても、目的のために進化を続ける組織を指します。そこには指示系統がなく、メンバーが自分たちのルールや仕組みを理解して独自に工夫し、意思決定していくという特徴があります。
  • このティール組織に期待されることは、組織内の階層的な上下関係やルール、定期的なミーティング、売上目標や予算など、従来から当たり前のように行われている組織スタイルを撤廃し、意思決定に関する権限や責任を管理職から個々の従業員に付与することで、組織や人材に自律的で創造的な活動スタイルへの革新的変化を起こすことです。
  • ティール組織を提唱したラルーは、心理学者・ケン・ウィルバーインテグラル理論における「意識のスペクトラム」から、組織の発展過程を以下の5段階に分けて捉えています。
  1. Red(レッド)組織:個人の力で支配的にマネジメント
  2. Amber(琥珀)組織:役割を厳格に全う
  3. Orange(オレンジ)組織:ヒエラルキーは存在するが、成果を出せば昇進
  4. Green(グリーン)組織:主体性が発揮しやすく多様性が認められる
  5. Teal(ティール/青緑)組織:組織を1つの生命体としてとらえる
  • 一方、わが国の精神風土には、従来から「権威と権力」を分離することや、「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」(原典は中国の書『書経」)といった言葉を重んじるところがあります。
  • この言葉は「功績のある者でも人徳のない者には高い地位や権限を与えてはならない」とも解釈できますね。
  • こうした古来の普遍的な原理も大切なことであり、同時に組織を一つの生命体のように捉えて自己組織化する「ティール組織」の考え方も、今後の働き方を変革していく上で、大いに活かすべきものと考えます。
  • いつの時代においても、(その組織の目的や規模、あるいは周囲の環境と時々に求められるパワーとスピードに応じて)、トップリーダーを含めた構成員の一人ひとりが「主か従か」の役割を柔軟に果たし合えるような組織環境をつくることが重要です。