易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「資源配分の平等・公平・公正」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「風雷益」の「上爻変」でした。
  • 「益」(えき)は、持てる資源や能力を求める人々に提供することで、社会全体に便益が及びます。 
  • 「上爻変」は、自己中心的で一貫性を欠いている恐れがあります。社会に貢献するという目的・目標を忘れずに。
  • 本日のテーマは、「資源配分の平等・公平・公正」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 新型コロナの感染の第3波が全国的に続いています。
  • 大阪都市圏の北東部にある当地域も、大阪府の医療緊急事態を受けて、マスク・手洗いに始まり三密回避などの基本的な予防対策に加えて、イベント等や不要不急の外出を差し控えるよう要請されています。
  • 医療サービスを提供するための人材と施設設備、そして必要な費用を賄う医療保険制度等は、その時代の経済力と国家予算などの社会的な資源の適切な配分によって持続される貴重な社会資源といえるものです。
  • かつて1970年から80年代の大阪では、65歳以上の高齢者や障がい者の医療費負担をゼロにする全国最高水準の「医療費公費負担制度」がありましたが、今日では、その後の財政危機等々を経て、大阪府域もほぼ全国並みの水準となっています。
  • 高齢者の医療費負担については、昨今の厳しい国家財政運営の状況から、どの程度の水準でいかなる範囲の対象者の自己負担を軽減すべきなのかが、改めて政策論議のテーブルに乗せられています。

 

〇「観る力を養う」

  • 今日のテーマ「資源配分の平等・公平・公正」という視点から、医療サービスのあり方、特にホットな話題として、「新型コロナの予防用ワクチン」に関する動向を観てみしました。
  • まず「平等・公平・公正」という言葉ですが、「平等」は英語では“Equality”です。イコールの名詞形、つまり、平等とは「イコール・同じ」であり、差別や偏りがなくみなが一様に等しいことです。
  • また「公平」は、一定の集団において、すべてを同じ条件で偏ることなく同様に扱うことを指します。「公平」という表現には、「各人の状況・能力・適性などを考慮して、みんなが等しいと思えるハンデのない条件で競争したり物を分配する」というニュアンスがあります。
  • そして「公正」は、「偏りがなく公平であること」という意味では「公平」と同様に使われますが、加えて「ものごとに対して嘘偽りがなく、法的にも適正であること」という意味合いがあります。
  • この間、急ピッチで新型コロナの予防ワクチン開発が進められ、わが国でもいずれ近いうちに配布される場面が来るはずです。効果が実証され、より安全なものを必要量確保することと合わせて、どのように優先順位づけするのかも重要なポイントの一つです。
  • そこで、「新型コロナの予防用ワクチン」の優先順位に関するわが国の考え方を確認するために、厚生労働省の公式ホームページから、関係部分を以下のとおり抜粋しました。

「接種対象者や接種のあり方について、7月に政府の…『新型コロナウイルス感染症対策分科会』において検討… 全国民に提供できるワクチンの数量を確保することを目指していますが、…徐々に供給が行われることになりますので、接種対象者に一定の接種順位を決めて接種する必要があると考えられます。」
「9月…『中間取りまとめ』では、新型コロナウイルス感染症患者…の医療従事者等や、高齢者及び基礎疾患を有する者を接種順位の上位に位置付けて接種する方針…基礎疾患を有する者や障害を有する者が集団で居住する施設等で従事する者や妊婦の接種順位については、引き続き検討…」

  • 次に、他の先進諸国の動きに目を向けてみます。
  • アメリカの「全米医学アカデミー」が今年10月2日に、国立衛生研究所(NIH)と疾病対策センター(CDC)からの委託で作成した報告書から、ワクチンの配布に関する提言の部分です。
  • この「報告書」では、当然ながら、最初に接種を受けるべき人としては、(世界保健機関:WHOも同様の勧告をしていますが)医療従事者、警察官や消防士などの緊急対応要員、基礎疾患のある人、グループホームに住む高齢者が挙げられています。その上で、ワクチンを以下の「4段階」で優先順位をつけて配布することを提案しています。

(第1段階)感染リスクが高いヘルスワーカーに加えて、バスの運転手、食料品店の店員など、社会を動かす上で必要不可欠な仕事を担うエッセンシャルワーカー

(第2段階)65歳以上の高齢者、幼稚園から高校までの教師、学校職員、保育士のほか、食肉加工場などソーシャルディスタンス(社会的距離)をとれない環境で働く労働者、グループホームやホームレスシェルターの居住者や職員、刑務所や拘置所の収容者や職員など

(第3段階)子ども、30歳未満の成人、その他のリスクの高いエッセンシャルワーカー

(第4段階)その他米国に居住するすべての人

  • さらに、疾病対策センター(CDC)による「社会的脆弱性指標」のスコアが高い人々を優先するといった、これまでにない提言も行っています。これは、貧困、乏しい交通機関、狭い住居での密集した生活など、健康状態の悪さと関連づけられる要因を数値化したものです。
  • 今後、この報告書による提言事項は、「予防接種の実施に関する諮問委員会 (ACIP)」によって検討されるということです。
  • 世界の国々における「新型コロナのワクチン」の配布・接種に至るプロセスや優先順位の決め方が、その政府と国民の「平等・公平・公正」に関する考え方を、象徴的に表すものになるのではないでしょうか。