易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「由らしむべし」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「天水訟」の「五爻変」でした。
  • 「訟」(しょう)は、争訟で物事の解決を図るとき。できれば訴訟沙汰になるまでに、何らかの手を打てる方が望ましいですね。 
  • 「五爻変」ですから、正義を貫いて勝訴します。
  • 本日のテーマは、「由らしむべし」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 地方自治体の首長や議員は、通常4年ごとに選挙で選ばれます。
  • 当地域・四條畷に、また市長選挙が巡ってきました。4年間という任期は長く見えて実はそうでもないようです。
  • (政策の変化や施策の成果を目に見える形で示すことは、容易くありませんが)市政を進めてきた首長は、有権者であり納税者・受益者である住民に対して、できるだけ分かりやすく説明する必要があります。
  • 同時に住民の立場からも、その間の市政をしっかりと見極めて評価し、次の4年間を信頼して委ねるべき人物を選ぶことが求められるのも当然です。まちの将来にとっての大切な権利行使ですね。

 

〇「観る力を養う」

  • 本日のテーマ「由らしむべし」は、『論語』の泰伯第八にある「子曰く、民はこれを由らしむべし、これを知らしむべからず」から引きました。
  • これは、一般的に「為政者が定めた法律によって人民を従わせることはできるが、その法律の道理を理解させるのは難しい」という政治リーダーのあり方について、孔子が語ったものとされます
  • ただ、中国でもその解釈は「人民は知らず知らずにルールに従う。その従う理由を自覚させるのは難しい」「政府の施政方針を全ての人民が、その理由まで知るのは理想である。しかし、従わせることはできても理解させることは難しい」など様々です。
  • 論語』にも通じていた明治の大事業家・渋沢栄一氏は、要旨「政治の内実や施政方針について詳しく説明する必要はない。その良し悪しは人民が自分で考えて、判断するべきこと。人民がいつまでも国に頼らないよう、むしろ批判精神の育成を促して、その意識改革を求めるべき」と説いています。(渋沢栄一論語講義』平凡社刊)

・私にとって最も心に響く解釈は、やはり安岡正篤氏による以下の解説(抜粋)です。

「全く意外に多くの人々が…、民というものは文句なしに服従さすべきで、知らせてはならぬと言う意味に解釈し、…中には『民は知らしむべし、由らしむべからず』と直して論ずる者すら少なくない。」

「…これは孔子が時の為政者に向かって政治の心得を説いたもので、民衆をして政府の為す所に信頼せしめよ、之に一々わからせることは出来ないものだ。(由らしむべし『べし』は命令のべし、知らしむべからずの『べからず』は不可能の助動詞)というのである。」

「政策が国家非常の要務のために、民衆の自由を制約せねばならぬ場合、…また大政治家が目先の苟安(こうあん:一時的な安楽をむさぼること。)を望む一般の与論を無視しても、国家百年のために大計をたてるような場合、なかなか民衆の理解や容認を得られるものではない。」

「しかし、…任せて置こうではないかという信頼は平生において博して置くこと出来る。この民衆の信頼信服が政治家に一番大切なことである。これさえあれば、そう宣伝に苦労したり、警察に神経を尖らせる必要はない。」(『経世瑣言』 致知出版社刊)

  • 「由らしむべし」は、後段の「日頃から為政者と民衆との信頼関係を築くことの大切さ」を説くものであると観ます。