易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「恒産なければ恒心なし」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「雷風恒」の「三爻変」でした。
  • 「恒」(こう)は、平穏で安定した状態にあるとき。所期の目的・目標を意識します。
  • 「三爻変」ですから、初心を忘れていないか、自分の行いを省みる必要がありますね。
  • 本日のテーマは、「恒産なければ恒心なし」とします。

 

〇「地域を楽しむ」「観る力を養う」

  • 本日のテーマ「恒産なければ恒心なし」は、古代中国の「孟子」が、人々の生活安定を政治の基本とすべきことを強調したことばです。以下に、その読み下し文と大意を抜粋しました。(『孟子』の「梁惠王上」:魏・梁の恵王への応答)

(原文読み下し)「恒産無くして恒心有る者は、惟士のみ能くするを為す。民の若きは則ち恒産無ければ、因て恒心無し。」

(大意)「恒産がなくても恒心をもてる者は、立派な人物だけである。普通の人々は恒産がなければ、恒心をもてない。」

  • 私のような凡人は、安定した職業や財産(恒産)を持たなければ、しっかりとした道義心や良識(恒心)を持つことは難しいという意味ですね。
  • そもそも人間は、誰しも安定した職業や財産を得ることを含めて、様々な欲求を持ちつつ生きているはずですが、その時々の社会経済情勢や置かれた政治環境などによって、いくら頑張ってもその欲求が満たされない状況も生じます。
  • この人間の欲求について、社会的に成功した人物の実際の生き方を深く観察し、その構造を明らかにした理論の一つが、アメリカの心理学者アブラハム・マズロ-氏の「欲求5段階説」です。

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    マズローの欲求5段階説
  • 人間の欲求は、「生理的欲求」~「安全の欲求」~「所属と愛の欲求」~「承認の欲求」~「自己実現の欲求」へと、5段階のピラミッド状に構成されていると説きます。
  • 日々の生活が安全で安定して「物質的欲求」が満たされると、より高次の階層にある精神的な欲求に向かう行動エネルギーに展開される、というわけです
  •  「恒」という字は、「心の働きが亘(わた)る」つまり「端から端まで考えが行き届いていること」を意味しています。
  • コロナ禍を乗り越えて、より安全で安定的な生活を広く地球上の人々が享受できる状況、即ち「恒産・恒心」を分かち合える国際社会を実現するには、まだまだ道程がありそうです。