易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「経世済民」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「風雷益」の「初爻変」でした。
  • 「益」(えき)は、治政の恩恵が広く民人に行きわたるときです。 
  • 「初爻変」ですから、積極的に施策・事業を推進します。
  • 本日のテーマは、「経世済民」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 大阪は、江戸期から近代にかけて町人のまち・商都として発展してきた歴史があります。
  • 学問においても、江戸の官学に対し庶民にも開かれた自由度の高い学問所として、「懐徳堂」が1724年(享保9年)、中井甃庵によって町人衆とともに大坂(今の大阪市中央区)に創設され、多くのユニークな人材を輩出しています。
  • 例えば、両替商の番頭であった山片蟠桃(やまがたばんとう)が、18年の歳月をかけて1820年(文政3年)に73歳で完成した全12巻の大著『夢の代』の中には、市場経済や経済政策のあるべき姿を示す考え方も含まれています。

 

〇「観る力を養う」

  • 本日のテーマ「経世済民」は、「経済」の語源ともいわれ、元は中国の古典の中にある「経世(国)済民」などが起源とされます。
  • その意味は「世を經(おさ)め民を濟(すく)う」こと、つまり民を救うために様々な公的施策・事業を行うのが本来の「経済」でしょう。
  •  さて、山片蟠桃の『夢ノ代』の内容には、今日の学問領域でいえば、天文学、地理学、神話学、歴史学政治学、経済学が網羅され、哲学書に近い観があります。
  •  その第6巻「経済」では、「天下ノ知ヲアツメ、血液ヲカヨハシ、大成スルモノハ、大坂ノ米相場ナリ」また、それは「人気ノ聚ル処」、「又コレ天ナリ、又コレ神ナリ」と述べています。
  •  その要旨は、「世間の人々が各々に知恵をめぐらして取引・売買を行った結果、即ち人々の人気・天や神のなせることとして、米などの価格が決まっている。」という市場経済の認識です。
  • したがって蟠桃は、商品の価格を低く統制する政策などは、「不自由ナルコト云ベカラズ」。つまり、「(統治者は無駄な出費と規制を控え)物価は市場の動きに任せる方が適切な水準に落ち着く。」というのです。
  • そして「経済」は、「マヅ民ヲ富スコソヨカルベシ」とし、人々の生活を安定させ豊かにすることこそ統治者の使命だと説いています。
  • さらに続けて、1802年(享和2年)洪水に見舞われ被害の大きかった河内地方に、「大坂の商人たちが救援物資を運んで配給したこと、それは大坂に経済力があり、大坂商人たちの間に困窮した人々を救おうという倫理観を持っていた結果であること」も指摘しています。
  • 山片蟠桃の「経済=経世済民」の重要性を説く考え方は、その後の政治・経済思想に大きな影響を与えました。
  • こうした蟠桃の事績は、『論語と算盤』で高名な渋沢栄一が活躍する70年以上も前のことです。