易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「待つ力」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「水天需」の「四爻変」でした。
  • 「需」(じゅ)は、自重してチャンスの到来を待つ状態。いずれ展望も開けます。 
  • 「四爻変」ですから、厳しい局面ですが、素直な心で助言に従い切り抜けます。
  • 本日のテーマは、「待つ力」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 大阪大学総長で哲学者の鷲田清一氏は、その著書で、「待つ」とは、「意のままにならないこと、じぶんを超えたもの、じぶんの力ではどうにもならないものを受容れること」と捉え、何事でも性急に結論や成果を求めてしまう現代人の傾向に対して、「待つ」ことの先にある「希望」や「期待」を見失っているのでは…と警鐘を鳴らしました。
  • 鷲田氏は、少子高齢化が進み「育児」と「介護」が注目される時代にあって、この両者はともに「待つ」ことであり、「待つ」ことは「信じること、信頼すること、そして無条件にすべてを受容れることである」と説きます。(『「待つ」ということ』2006年刊・角川選書)

 

〇「観る力を養う」

  • 本日のテーマは「待つ力」ですが、その前に「我慢」という言葉について確認してみました。
  • 「我慢」は、3つの意味を持っています。1つ目は「耐え忍ぶこと。こらえること。」、2つ目は「 我意を張ること。また、そのさま。」であり、3つ目は人間の煩悩を表す仏教用語の一つとして「我に執着し、我をよりどころとする心、おごり、他を侮ること。」とされています。
  • 今日的には、ほとんどの場合「1つ目の意味」で用いられますから、「我慢すること」は「待つこと」とほぼ同じニュアンスに感じます。
  • ところで、1960年代後半から1970年代前半にかけて、米スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したマシュマロ実験(マシュマロ・テスト)という子ども時代の「自制心」と、将来の社会的成果の関連性を調査した有名な実験があります。
  • 調査対象は、当時4歳の子ども186人で、子どもは1人ずつ教室に通され、机の上にある1つのマシュマロを前にして、実験者から「私は、用事があるので部屋を出る。このマシュマロは君にあげるが、私が戻ってくるまで食べるのを我慢したら、もう1つあげる。しかし、それを食べてしまったら2つ目はない。15分したら戻ってくる。」と伝えられます。
  • そこで、子どもたちがマシュマロを前にして、どう行動したのか?
  • 結果は、3分の2の子どもはマシュマロを食べ、3分の1が食べずに待っていたということです。
  • 調査の18年後、その子どもたちが22歳になったときの追跡調査では、4歳のときの自制心の傾向が続いていたこと、つまり、「マシュマロを食べた子よりも食べなかった子の方が学業成績が良かった」という結果が示されました。
  • さらに2011年、その子どもたちが45歳になったとき、さらなる追跡調査が行われ、「この傾向が人生の半ばまで続いていることが判明した」ということです。
  • 「待つ力」は、幼児教育の段階で培われると効果的なんですね。
  • 私などは、すでに手遅れの極みですが、鷲田先生が説いているように、「待つ」ことは「信じること、信頼すること、そして無条件にすべてを受容れることである」と理解すれば、年齢に関わりなく「待つ力」に磨きをかけることの大切さを実感します。