易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「完成は崩壊の始まり」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「水火既済」の「初爻変」でした。
  • 「既済」(きさい・きせい)は、完成美ですが、物事は絶えず変化していくもの。次の目標に向かいます。 
  • 「初爻変」ですから、危険を察知して現状に踏みとどまり、新たな道を探求します。
  • 本日のテーマは、「完成は崩壊の始まり」とします。

〇「地域を楽しむ」

  • 鎌倉時代末期から南北朝時代、当地・四條畷ゆかりの人物・小楠公楠正行が生きた同時代に、官人・歌人・随筆家で、また出家したことから兼好法師(けんこうほうし)とも呼ばれる吉田兼好がいます。
  • 兼好は、現在の大阪市阿倍野区松虫通にある正圓寺(しょうえんじ)付近に移り住み、清貧自適な暮らしを営んでいたとも伝えられます。
  • (最近の週刊誌などで、お寺のトラブル発生も伝えられ、少々心配なところですが)正圓寺境内の東側には、「兼好法師の藁打石」と「兼好法師隠棲庵跡」の碑が建っています。

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〇「観る力を養う」

  • さて、吉田兼好といえば、教科書にも出てくる随筆『徒然草』が有名です。
  • その第82段に、以下のような文章があります。

(原文:抜粋)「羅(うすもの)の表紙は、疾(と)く損ずるが侘しき」と人のいひしに、頓阿が、「羅は上下はづれ、螺鈿(らでん)の軸は、貝落ちて後こそいみじけれ」と申し侍りしこそ、心勝りて覚えしか。…し残したるを、さて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶる事(わざ)なり。内裏造らるるにも、必ず、造り果てぬ所を殘す事なり」と、ある人申し侍りしなり。

(現代語訳:抜粋)

「薄絹で装丁した本の表紙は、傷みが早くて困る」と嘆く人がいた。それに対し、友人の頓阿(とんあ)が「薄絹の表紙は、上下の縁が擦り切れてほつれたほうが、また、巻物の螺鈿の軸はちりばめた貝が落ちた後のほうが深い味わいが出るものだ」と答えたのには、感心させられ、彼を改めて見直した。

…何事においても、すべて完全に整い完結しているのは、かえってその仕事の命が終わることになり、よろしくない。やり残した部分を、そのままに放置してあるのは、味わいも深く、仕事の命を将来につないでやる方法なのだ。「内裏を造営する時も、必ず未完の部分を残すものだ」と、ある人が言ったそうだ

  • わが国の木造建築では、「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という伝承を逆手にとり、「わざと柱を上下逆向きの状態に据えて災いを避ける逆柱」という技があるそうです。
  • 江戸時代初期に建造された日光東照宮の陽明門には、柱の中の1本だけ、彫刻の模様が逆向きになった「逆柱」があることが知られています。
  • 完成した建造物を少しでも長く存続させるための「魔除け」の一つですね。