易経で自分らしさを磨く

今日の易占から/地域を楽しむ/観る力を養う

「度量と器量」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「火山旅」の「初爻変」でした。
  • 「旅」(りょ)は、前途は孤独でリスクの多い状況。無理せずに周囲の協力を求めます。 
  • 「初爻変」ですから、もっと度量を大きく持って目標に向います。
  • 本日のテーマは、「度量と器量」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 当地・四條畷ゆかりの東洋哲学者・安岡正篤氏の著作の一つに、1995年(平成7年)に致知出版社から刊行された『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』があります。
  • 同社がネットに発信している情報によると、「21回の増刷を重ね、9万部を突破する弊社の隠れたロング&ベストセラー」とのことで、「江戸末期の儒学者であり、教育者として当時の藩士たちに多大な影響を与えた佐藤一斎。本書はその一斎の著書である「重職心得箇条」に現代語訳を付し、安岡正篤師が解説を施したもの」と、説明されています。
  • かつての小泉総理が外務大臣に任じた人物に、この17か条の書を手渡したことでも話題になったことがあります。

 

〇「観る力を養う」

  • さて、「度量と器量」ですが、まず「度量」については、『重職心得箇条』の第8条に、以下のとおり書かれています。

「重職たるもの、勤向繁多と云う口上は恥べき事なり。仮令(たとえ)世話敷とも世話敷とは云わぬが能きなり。随分手のすき、心に有余あるに非れば、大事に心付かぬもの也。重職小事を自らし、諸役に任使する事能わざる故に、諸役自然ともたれる所ありて、重職多事になる勢あり。」

  • この大要は、要職にある者(重職)が「仕事が忙しい」などと口にしてはいけないということであり、そもそも「忙」と言う字は、「心を亡くす」と書くように、心に有余(=余裕)を亡くしているのが「忙しい」という状態です。物事の大勢や微妙な機をしっかりと捉えるには、日常の姿勢や行動に余裕を持つことが不可欠です。
  • また、忙しくなる理由の一つには、能力が高いゆえに自ら「小事」にまで手を出してしまっていることもあります。つまり部下に任せることが出来なくなって、いくらでも「小事」が膨らむ状態になっているのです。
  • さらに、重職の大きな役割の一つに「人材を育てる」ことがあります。未熟な人材も、一仕事を「任せられる」ことで、成長の機会を得られるわけですからね。
  • 次に「器量」について、『重職心得箇条』の第11条に以下のとおり記されています。

「胸中を豁大寛広にすべし。僅少の事を大造に心得て、狭迫なる振舞あるべからず。

仮令才ありても其用を果さず。人を容る丶気象と物を蓄る器量こそ誠に大臣の体と云うべし。」

  • この大要は、重職は心を大きく寛大であることが望まれるのであり、さらに職務に自信が持てないと、些細なことにも大仰になりがちで、また焦りの気持ちが加わると無意識に強圧的に指示してしまうこともあって、孤立することになりかねません。
  • 重職の器量が足りない組織ほど、部下同士もちょっとした行き違いなどで互いの批判に終始したりしてしまいます。
  • トップに立つ人物が「人を容る丶気象」、つまり組織メンバーの気性や気質を掌握し、許す範囲を心得ているということであり、「物を蓄る器量」、すなわち多様なケースに対応できる智恵や柔軟性を備えていることが大切だということですね。
  • 初めから失敗しようと思って仕事をしている人はいないはずですから、重職は、対立や批判が何に起因するものなのか、真っ先に気づく必要があります。
  • 「器量」は、書物を読むだけでは身につきませんので、実践を通じて現実の世界と行き来しながら自らの思索を深めることが重要です。
  • とりわけ「コロナ禍」のように、地球的な規模で人間社会に影響を及ぼす非常事態にあっては、なおさら重職たる立場にある者の「度量と器量」が、随所で厳しく試されるわけですね。