〇「今日の易占から」
- 今日の易占は「巽為風」の「五爻変」でした。
- 「巽」(そん)は〝風〟が重なる形で、情勢に柔らかく謙虚に適応するときです。
- 「五爻」はリーダーの位置にあって、しっかりと考えを練りながら正道を行けば、最終的には成果に結びつきそうですね。
- 「優柔不断」という表現は、判断が遅く決断力のないことを指します。小チームであれ大組織であれ、リーダーである限り、柔軟な姿勢で謙虚にしているだけでは済まされないことがあります。時と場合によってAかBかの厳しい選択、いずれかを捨てる「決断」が求められます。
- 本日のテーマは「優柔有断」。
〇「地域を楽しむ」「観る力を養う」
- 小楠公・楠正行を主祭神とする四條畷神社には、「櫻井の別れ」をモチーフにした楠木父子の対面像があり、台座に「忠孝両全」と刻まれています。
- 「忠孝」「忠義・孝行」は、「楠公精神」の核心といえるものですが、明治以降から戦前までは、特に国家・天皇中心の軍国主義を鼓舞するためのフレーズとして利用された側面があって、その真意が伝わらず、戦後教育の中では、むしろ否定的に捉えられてきました。
- そこで儒教道徳の原典の一つ、「孝経」をひもといてみると、儒教の根本理念は「孝」にあり、「孝」を起点として「忠」(=「誠」「真心」)につながります。
- まず「孝」とは、「徳の本であり…そもそも我が身体、髪、皮膚、ありとあらゆるものは父母より受けたるものである。これを一時の惑いに失うこと無く、その生を尽くして全うするは、孝の始めである。」さらに「親を愛する者は、人を悪むことは無く、親を敬する者は、人を侮ることは無い。愛敬を親に事(つか)えるに尽くすの心を以て、全てに推し広げる、さすれば徳教は天下万民へと自然にして満ち溢れ、世々これを則として背くこと無し。」と説きます。
- そして「父母を顕し先祖を讃えるに至らしめるは、孝の成就である。」とし、「…親に事えるの孝を以て君に事えれば忠である。」と、「孝」と「忠」が一連一体の概念として捉えられています。
- また「孝」と「忠」のいずれにおいても、絶対服従は求めていません。それどころか正しくないと思うところがあれば、親や主君に対しても反論や修正を加えるのが本当の「孝」であり「忠」であると説いています。つまり「優柔不断」では、「孝」も「忠」も成り立たないのです。
- 儒教道徳の根本理念である「孝」と「忠」は「楠公精神」に体現され、とりわけ父の遺訓を受けた小楠公・正行の事績があることによって、その完成度がより一層高められています。
- 文字どおり「忠孝両全」に生きるには、平常は風のように「優柔」でありながら、ここという時に「有断」であることが必要ですね。