〇「今日の易占から」
- 今日の易占は「沢風大過」の「上爻変」でした。
- 「大過」(たいか)は、志す目標に対して組織の体制が脆弱でアンバランスな状態です。
- 「上爻変」ですから、既定路線で進めてきたものの、力量不足で失速してダウンするような感じですね。
- ここは戦略と体制を練り直す時かもしれません。また、新たな目標や人物との出会いもあるでしょう。
- 本日のテーマは、「組織は戦略に従う」とします。
〇「地域を楽しむ」
- 地域講座:「なわて学」は、四條畷というまちを〝まるごと〟学ぶ場です。
- 四條畷の歴史・文化を辿ると、ゆかりある人物の一人に僧・行基が出てきます。
- 大阪から奈良・京都を結ぶ国道163号は、「行基みち」とも呼ばれるかつての「清滝街道」のルートで、市域には、僧・行基が活躍した白鳳(7世紀後半)から天平(8世紀前半)の時代にあった「正法寺」の広大な遺跡も、当時の建物跡が礎石や瓦などを伴って発掘されています。
- 行基は朝廷から弾圧されながらも、ため池づくりや温泉の開湯、そして仏教を布教するための寺院の建立など、民衆の暮らしを支える数多くの社会事業を組織的に展開し、740年(天平12年)72歳の時に当時の聖武天皇から大僧正に迎えられて、東大寺の大仏像造営に大きく貢献します。
〇「観る力を養う」
- 今日のテーマ「組織は戦略に従う」は、経営学の世界では少し古いですが、アルフレッド・D・チャンドラーの著書「Strategy and Structure」の中に出てくる考え方が思い起こされます。
- 「戦略」は、一般的には「理念」と「ビジョン」に基づき策定されるものであり、「組織」は、その「戦略」に従って編成されるのが基本と考えます。
- しかしながら、この間の人材の流動化や情報ネットワークの進展を考えると、今日のリーダーは「設定された目標とそれを達成するための経営資源を的確に投入する目論見」としての「戦略」と「経営戦略の核となる自発性を持った人材の配置」=「組織」を一体的に捉えて、スピーディに経営判断を下すことが求められるようですね。
- かつて行基は、「知識結(ちしきゆい)」と呼ばれる集団を組織していました。
- 仏教における「知識」は、仏との縁を結ぶために田畑・穀物・銭貨・労働力を差し出す行為や、その寄進した物資、さらに寄進して信仰を同じくする人の団体を意味します。(井上馨『行基』吉川弘文館、1959年)
- 行基は、組織リーダーとして卓越した能力を持っていて、その下には地域の発展に必要な土木技術、福祉施設、寺院建立など、貴重な技術・技能を持った知識人や技師の集団(これが「知識結」ですが)がいました。
- 「知識結」という組織は、強制されたものでなく自発性が基礎にあるため、その運営や管理は極めて効率的で、出来上がってくる成果は当然誇りある質の高い文化事業となります。
- 行基のもう一つの能力は、官を上回る「資金の獲得と管理」の能力を身につけていたことです。
- 聖武天皇は、行基の下で活動する「知識結」の成果に驚嘆し、大仏建立に民間の手法を取り入れたとされています。これは国家的事業を達成するために、民間活力を活用した最初の事例ではないかと考えます。