〇「今日の易占から」
- 今日の易占は「水火既済」の「五爻変」でした。
- 「既済」(きさい・きせい)は、物事が一段落して完結。新たなステージへの心の準備が必要です。
- 「五爻変」ですから、外見よりも内面の充実を図るのがベターですね。
- 本日のテーマは、「未完成というメッセージ」とします。
〇「地域を楽しむ」
- 大阪・河内長野市にある「高野山真言宗・観心寺」には、大楠公・楠木正成ゆかりの「建掛塔(たてかけのとう)」と呼ばれる重要文化財(1972年指定)があります。
- 当地域・四條畷ゆかりの小楠公・楠正行は、この観心寺で足利尊氏から送られてきた父正成の首級と対面したわけですね。
- 文化庁のデータベースにある解説によると、次のとおり説明されています。
「この建築は初重しかない未完成の塔であるが、木柄は太くて力強さがあり、貭もよい。国宝の金堂とともに伽藍の一環をなす貴重な遺構である。」
- 観心寺に伝わるところでは、当初は三重塔の建立を計画していたところ、楠木正成は、1336年(延元元年)湊川の合戦で最期を遂げたため、この塔は「初層しか完成しないまま茅葺の屋根で覆われた」されます。
- 現在の建物は、1462年(寛正3年)の火災で焼失後、1502年(文亀2年)に再建されたものです。
- 初重のまま保存(復元)された「建掛塔」の静かな佇まいは、息子・正行に思いを託して戦に臨み、自ら潔く散った正成のメッセージを、今もなお伝え続けているようです。
〇「観る力を養う」
- 本日のテーマ「未完成というメッセージ」から連想されるのは、有名な「サグラダ・ファミリア」(一般には「聖家族教会」)、カタロニア・モダニズム建築で最も良く知られた建築家・アントニ・ガウディによる未完成の建物です。
- スペイン・バルセロナ市のシンボルであるこの建物は、民間カトリック団体「サン・ホセ教会」が信者の寄付により建設を計画し、最初は建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受けて1882年に着工したものの、意見の対立から翌年にビリャールが辞任、その後を引き継いだのが、当時は無名のガウディでした。ガウディは設計を変更したものの、1926年に生涯を終えるまでライフワークとして、その設計・建築に取り組んだといわれます。
- 当初は着工時の建築許可が失効したままであったこともあり、完成までには300年以上要するといわれながら、2005年に『アントニオ・ガウディの作品群』としてユネスコの世界遺産に登録されるとともに、2018年にはバルセロナ市当局との合意が成立して、130年以上にわたる違法建築状態が解消されたということです。
- コロナ禍の影響が気がかりですが、近年その建設ペースが急速に上がり、2026年を目標とする完成予想図も示されていることは驚きです。
- 「自然の中に最高の形がある」と確信し、「美しい形は構造的に安定している。構造は自然から学ばなければならない。」というガウディのメッセージは、残された数多くの建築物を通じて世界に強く発信されています。