易経で自分らしさを磨く

~『易経カード』を人生のシグナルに~

「志とは」

〇「今日の易占から」

  • 今日の易占は「天火同人」の「初爻変」でした。
  • 「同人」(どうじん)は、志を同じくする友とともに進みます。 
  • 「初爻変」ですから、初志を大事にして広く同志を求めます。
  • 本日のテーマは、「志とは」とします。

 

〇「地域を楽しむ」

  • 当地・四條畷ゆかりの東洋哲学者・安岡正篤氏の逸話を集めた「致知出版社」のウェブサイトに、伊與田覺氏(かつての「成人教学研修所・学監)の述懐が、以下のような掲載されています。

「先生は国家社会のために働きましたが、それに対する償いというか対価は一切要求しなかった。」
「政界にも大きな影響力を与え、あるいは歴代総理からも尊敬されたというけれども、彼らから先生は何も経済的な恩恵を特に受けていません。」
「家族の人たちも、有名人や高位高官の家族といった感じはまるでないし、またそういう贅沢な生活はしていなかったですね。戦争で家は灰燼に帰し、その後、新たに建て直しましたけれど、それは粗末なものでした。応接間すらなかった。ちょっと広い廊下があるくらいで、来客とはそこに椅子を置いて話をされていました。私生活において、先生はまことに質素でした。」
「だけれども、どこに行っても大事にされましたね。あれが徳というものでしょう。」

(伊與田覺著『安岡正篤先生からの手紙』)

 

〇「観る力を養う」

  • さて、「志とは」、作家であり㈱サンレー代表取締役社長の一条真也(いちじょう しんや)/本名:佐久間庸和(さくま つねかず)氏は、「志」について、概略、次のように述べています。

もっとも大切なものは「志」である。…人間が幸福になれる道とは何でしょうか。…もっとも大切なものは「志」であると思います。「志」とは心がめざす方向、つまり心のベクトルです。

「志」に生きる者を志士と呼びます。幕末の志士たちはみな、「青雲の志」を抱いていました。かの吉田松陰は、「人生においてもっとも基本となる大切なものは、志を立てることだ」と日頃から門下生たちに説いていました。そして、…こう説きました。

「志というものは、国家国民のことを憂いて、一点の私心もないものである。その志に誤りがないことを自ら確信すれば、天地、祖先に対して少しもおそれることはない。天下後世に対しても恥じるところはない」「志士とは、高い理想を持ち、いかなる場面に出遭おうとも、その節操を変えない人物をいう。節操を守る人物は、困窮に陥ることはもとより覚悟の前で、いつ死んでもよいとの覚悟もできているものである」

最近の経営書を読むと、「志」の重要性について言及しているものが多く…さまざまな示唆があり…間違いではありませんが、いずれも「志」の核心はついていない…また、「夢」と「志」を混同しているものが多いのが気になります。

「志」というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値すると思っています。松陰の言葉に「志なき者は、虫(無志)である」というのがありますが、これをもじれば、「志ある者は、無私である」といえるでしょう。簡単にいえば、「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じている…、この違いが重要なのです。